ふたつの選択。
私の顔。
あなたの顔。
真実の顔。
なぜ、旅を始めたのだろうと、その理由を思い出すとき、
私たちは、ようやく自分の真実の顔を知ることができます。
それは、時々、忘れていたりするもの。
映画が始まって、そういう人生もありうるかもしれないと考えてもみる。
しかし、ほとんどの場合、私が見たものはどうも好きになれない。
私は、ブランケットを被って、何日もベッドにもぐっている、
そんなこともある。
想像してみましょう。
世界は、その巨大な車輪を回転させているのだと。
同じパターンを異なる形で、何度も何度も繰り返し回っているのだと。
私たちの人生には、二つの嘘があります。
私たちが誰かに語るものと、私たち自身に打ち明けるもの。
愛。
それが、ただひとつの答え。
いったい何が真実なのか。
探し求めて辿りついたところに、私は、その答えを見つけました。
私は、いつもずっと前を見ていました。後ろではなく、前を。
それより他にいい方法なんて、ありはしません。
人生は瞬く間に変わります。
私たちよりもさらに速く。
大切なのは、今までよりも、もっと豊かなコミュニケーション。
言葉の多さではなく、言葉を超えて。
時代は、ますます加速しています。
だから、私は壁にぶちあたるまで、
自分がいったい何者であるのか、はっきりと見ることができないのです。
私たちは、希望を実現していきます。
旧いシステムは、脱ぎ捨てられます。
時代はスローダウンし、本来の基本へと立ちかえるでしょう。
私たちは、新しい道を発見することができます。
永遠に変わることのない道です。
なすべきことを見つけるだけではなく、それよりもさらに、
日々の仕事のひとつひとつのことから、よりよくできることを導き出す。
そのような責任を果たしていきたいと思います。
なぜ、この旅を始めたのだろうと、思い返すのは、描いてきた軌道。
それは、さなぎから蝶が生まれ、ひらひらと宙を舞うことに似ています。
空を飛べたらいい、そう思いませんか。
私は、今でも思っています。
YOUR FLIGHT, SWISS MADE
(独語・英語より 訳:八木美恵子)
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光や生命を感じるCMなので、こういう季節に見直してみるのもいいかもしれない。
スイスインターナショナルは、現在ルフトハンザの傘下にあるが、やはり、スイスの顔である。
モットーは、「個人的な配慮」「スイス・ホスピタリティ」「細部への高品質」。
このショートフィルムは、スイスの映画監督マーク・フォスター Marc Forster とコラボした作品。制作は昨年だが、ロングランで今でも流れている。
2分27秒。
Brand: Swiss Air
Advertising Agency: Publicis Zurich
Creative: Martin Deneke
Director: Marc Forster
Producer: Peter Lehner
Director of Photography: Roberto Schaefer
Editor: Jay Nelson
Production: Ping Pong Animation: MK12
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お元気ですか。スイスの牛です。
日本は、トラ年なんですね。
ここは、どうかなぁ。寒いし。
アイドルは、いろいろいますが、
年間通じてっていうことでは、やっぱり、牛が人気じゃないかしら。
冬の間は牧場に出ないので、あまり人に会う機会もありませんが、
ミルクは、毎日お届けしています。
週末は、友達と近所の雪山に出かけて、こんな感じでスノボしたり。
ポスターになった3点は、冬のキャンペーンのお仕事。
ジャンプも楽しかったけど、CMでは、スケルトンにトライしてみました。
今度の金曜日から2週間ほど、スイスはスキー休暇。
ちょっとまた滑ってきます。
TVスポットは、こちらから。
© Swissmilk
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チューリッヒ歌劇場といえば、もちろんオペラで有名であるが、実は、ここに所属するチューリッヒ・バレエ団の舞台は、「ヨーロッパで最も美しいバレエ」と呼ばれている。
オペラの素晴らしい歌手がこの小さな街に集約されるように、バレエもまた、しかり。世界中からエリート中のエリート・ダンサーが集まって来て、プログラムごとに綺羅星のようなスターが登場する。
振付家として有名なハインツ・シュペルリ Heinz Spoerliは、彼自身、ダンサーだった。
96年にチューリッヒ・バレエ団の芸術監督に就任し、以来、斬新でユニークなプロダクションを発表し続けている。
バッハの「ゴールドベルグ変奏曲Goldberg-Variationen」、全てを踊る。
この曲は、グレン・グールドの演奏で最も知られているが、リピートを含めて、2つのアリアと30の変奏曲を弾くと、演奏時間は優に1時間を超える。ダンスとダンスの間に僅かな間があるので、ざっと90分。
それを、まったく休憩を入れずに弾き続けたピアニストは、アレクシー・ボトビノフ Alexy Botvinov。ウクライナ、オデッサ生まれ。
19歳でモスクワのラフマニノフ・ピアノコンクールで優勝して以来、バッハ国際コンクール、クララ・シューマン・コンクールと世界的な評価を不動のものにしてきた。
今回のように、ソロならばなおさら。バレエであっても、彼の演奏を聴くことを楽しみに訪れる人々が多くいる。
シュペリエとは、90年代半ば、バレエ「スツェーネンSzenen」でシューマンを演奏して以降、卓越したハーモニーを生み出すパートナーとなっている。
チューリッヒ・バレエ団のダンサーは、誰もがソリストとして踊る実力を持っている、という精鋭をすぐるレベルの高さを自負する。
圧倒的にファンの多い、イェン・ハン Yen Hanは、繊細な感情表現が深く、美しい。溜息をつくほどのプロポーションから生まれる気品にうっとりとする、アリヤ・タニクパイェヴァ Aliya Tanykpayeva は、インペリアル・ロシア・バレエから移籍。サラ‐ジャンヌ・ブロドベックSarah-Jane Brodbeckは、快活で自由な空気が愛らしい、。
男性では、アルチュール・ババイャンヤン Artur Babajanyan、ブライアン・チャン Bryan Chan、アルマン・グリゴリヤン Arman Grigoryanなど。いずれも、超人的な跳躍力、目を瞠る静止力、天性の敏捷を兼ね備えた俊英たちだ。
最初のアリアが始まると、ゆっくりといくつもの影が動き出す。照明をぐっと落としたステージでは、それぞれのダンサーがそれぞれの音となって、記号を発信しているかのようだ。
舞台装置は、何もない。オーケストラピットにアレクシー・ボトビノフと1台のピアノ。照明、ダンサーの動き、次々と色を変えるレオタード。
足すのではなく、引く。ぎりぎりに削ぎ落とし、この舞台に関わる人間ひとりひとりの内面を引き出していくかのような作品。光と陰が交差する。
「私にとって、ゴールドベルグ変奏曲とは、通り過ぎていく人生そのものなのです」、とシュペルリは語る。男と女が出会い、惹かれあい、結びつく。別離がある。年齢を重ね、だんだんと成熟し、変化していく。そのように、互いに接しながら離れながら、時は過ぎゆく。
30の人生のバリエーションを踊るダンサーたちは、ときには、優雅にせつなく、気高く。また、ときには、アクロバットや体操競技を観ているかのような、「ダンス」で意表を突かれる。計算し尽くされた多様でエキサイティングなシーンが、目眩く目の前に現れては消えてゆく。
途中でソロが入るが、後半3曲、パ・ド・トュが踊られる。それらが何とも上品でしなやかで、夢のようなダンスだった。
ゴールドベルグ変奏曲は、第16変奏の「序曲」で、前半、後半が対比されるが、これをシュペルリは、「まるで孤を描くように」振り付けた。最初のアリアが繰り返されてゆっくりと終息するシーンで、舞台に再び静けさが運び込まれて来る。
不眠症のために演奏されたという逸話さえある長い曲。寝てしまうのではないかと心配だったが、驚かされ通しで、ずっと覚醒してい た。
長年高い評価を得ているプロダクションだと聞いた反面、「レオタードの色とライトがどんどん変わって、ダン サーが出て来て踊って、また次っていう感じ。それだけよ」とは、オペラ座常連の方。面白い。
あれだけのことを、それだけにも見せてしまう、省略。そのクラシックの基本の確かさと昇華。紡ぎだされる宇宙観のようなものが、やはり尋常ではないバレエ団なのだと思う。
Photo: Opernhaus Zürich / ©Peter Schnetz
“バッハ「ゴールドベルグ変奏曲」チューリッヒ・バレエ団” への2件のフィードバック
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バイエラー財団美術館のジェニー・ホルツァー展では、企画意図の一環であるのか、写真撮影が許されている。
話題になった、レンゾ・ピアノの建築とのコラボレーション。ジャコメティ、ピカソ、マックス・エルンスト、そして、ネオンなど屋外広告を表現媒体にした時期もあるアンディー・ウォーホルなど。財団のコレクションのなかからホルツァー自身がキュレーターともなって選んだ、これら作品との対話がここにある。
カタログを買うと、ホルツァーのメッセージがデザインされた、美術館オリジナルのバッグがついてくる。
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チューリッヒからバーゼルまで、直行で1時間弱。アートや時計のフェアでしばしば名前が登場するが、バーゼルは、中世の時代から学芸や文化の中心地として発達してきた古い都市だ。旧市街やライン川沿いに独特の優雅な趣きがある。
バーゼルの国鉄駅は、ネオバロックのファサードを持つ国境の駅。ドイツ、フランス、スイスのボーダーがここで接する。
駅からトラムに乗って、郊外のリーヘンRiehenへ。世界に美しい美術館はたくさんあるが、大きな池にゆったりと水を湛えた、このバイエラー財団美術館の静寂や気品は、美術を鑑賞するための心を穏やかに迎えてくれる。
世界的建築家レンゾ・ピアノ Renzo Pianoの作品。
バイエラーは、丁寧に収集されたコレクションの素晴らしさはもとより、ヨーロッパでも、極めて質の高い企画展を展開することで広く知られる。アート・バーゼルの会場で、毎年、必ず入口から右手、最初のブースを持つのがこの美術館だ。
年を越えて開催されている展覧会 ジェニー・ホルツァー Jenny Holzer。あらためて言うまでもなく、現代の最も有名な作家のひとり。90年のベネチア・ビエンナーレで金の獅子賞を受賞したが、この評価以降、彼女の社会性、政治性が強く、なおかつ詩的な言葉をあふれる波のように伝達していくという制作活動を、より大きなフィールドへと発展させていった。
1950年、アメリカ オハイオ州生まれ。LEDの電光掲示板でフレーズを流すなど、近年は、各都市でプロジェクトを組んで作品を作り上げ、しばしば街を媒体として表現する。
今回の企画展では、チューリッヒでは、旧市街リマト川を見下ろすリンデンホフLindenhofの丘の壁に。バーゼルでは、カテドラル、SBB駅構内、シティホールなど。石畳に、教会の聖母像に光のメッセージが走り続けた。
70年代後半のテキストを含め、80年代以降の彼女の全分野における主要作品で構成。とりわけ、ヨーロッパでは未発表だった作品を含め、近作にフォーカス。LEDのインスタレーションはもちろん、絵画、オブジェなどを展覧する、スイスでは初めての大規模なショーだ。
また、バイエラーならではの思考のしなやかさであるが、ホルツァーの作品と影響し合うという意味で、財団のコレクションから、ジャコメティ A. Giacometti、ピカソ P. Picasso、マレーヴィチ K. Malevich、ベーコン F. Baconといった作家の作品が選ばれ、インスタレーションから移動していく間に、あるいは、同時に、全く異質なアートにも会うことになる。
1月24日まで。
バレーの2枚目3枚目の画像が斬新で素晴らしいです。
これをみると是非本物の公演を見たいと思ってしまいます。
傑作を見せていただいてありがとう。
roberto sama
いくつか観ていると、ハインツ・シュペルリは、ほんとうに才能あふれる特異な演出家だと思います。あの2枚の写真は、絞り込むまでしばらく考えましたが、最も印象に残っているシーンから選んでみました。
気に入っていただけて、とてもうれしいです。ありがとうございます。