チューリッヒの街には今、いたるところに巨大な植木鉢が出現している。
初夏から始まったキャンペーン、ガルテンシティ チューリッヒ 2009 Gartencity Zürich。アートとデザイン、植物と自然、都市と環境の融合をテーマにした、チューリッヒ観光局によるユニークな企画だ。
植木鉢は、ガラス繊維強化ポリエステル。高さ150cm、直径120cm。内外から参加したアーティスト達が制作した。
映画「エイリアン」でおなじみのスイス人アーティスト、HRギガー HR Gigerや、ドイツのハンス・ラングナー Hans Langner。ミラノのブレラ国立美術学院 Accademia di Breraからは、生徒と教授による作品も見られる。
チューリッヒ空港から街の中心へ。特に、中央駅から始まるショッピング街、バーンホフ・ストラッセから金融の中枢、パラデ・プラッツまでは、ハイライトのひとつ。ここから、湖へ、リマト川にほど近い石畳の旧市街やオペラ座へと、人々を誘導するように作品が配置され、その数は街全体で優に300を超える。
夾竹桃、椰子、はなみずき、極楽鳥、もみじ、いちじく、トチの木・・・
30種類以上の植物が植えられ、通り過ぎるたびに異なる日々の変化も、4ヵ月という長期キャンペーンを飽きさせることがない。
一年の中で、最も美しいこの季節。色とりどりの花を咲かせて、街はすっかり不思議なガーデンになった。
登場するアートは、年ごとに変化しているが、オリジンは、1998年の牛、カウパレードに遡る。グラスファイバーで作った400頭の牛にアーティストが思い思いに色をつけ、それを街中に飾った。この牛のボディペインティング、予想を大きく超えて大変な評判になり、牛の数はキャンペーン中に800頭にもなったそうだ。
しかも、シカゴ、ニューヨーク、ヨーロッパ各地と世界中に拡大し、東京丸の内でも、昨年までに3回、牛が現れた。
その後、地元チューリッヒでは、牛からベンチ、テディベアへと変遷をたどり、今年の巨大植木鉢へ。
面白いことに、このイベントが始まった98年あたりは、チューリッヒが現代アートの拠点として注目され、世界中からアーティストが移り住み、活動するようになった時期とちょうど重なる。
街のマーケティングを考えた時、「牛」というブランド力と、波に乗ってきた現代アートの力を使うということは、多分、自然でさえあっただろう。
そもそも、チューリッヒは、ダダ発祥の地。前衛の土壌がある。
子どもから老人まで。すべての人に向けられたアートと植物から届くメッセージは、やさしい。
アートが距離をぐっと縮め、人に、社会に語りかけるフックとなって、街をダイナミックに広告する、ガルテンシティ チューリッヒ2009。
自然の豊かさ、身近さ。サステナブルな街として、チューリッヒのイメージを強化しようとする、より積極的な観光誘致を核に据えつつ、同時にこの街の持つ斬新な魅力を、世界に向けて打ち出すブランド戦略の展開だ。
チューリッヒには、日本のようなコンビニは、ない。国際都市でありながら、時間は東京の数倍ゆっくり流れている、と感じるだろう。
しかし、ここでもやはりiphoneは大ブームだし、携帯とインターネットの発達で、情報はどんどん個別化されている。
一方、コミュニケーションがよりパーソナルになっていく反面、それでも、人は肌や声の温かさが好きだし、時には、踊りの輪に入ってみたいとも思うものだろう。そんなちょっとした興奮や感動は、安らぎや幸福感と隣り合わせになっている。
仕事人が、きびきびと歩いている。芝生で日光浴する若者がいる。お隣りのおばあちゃんが、猫の話をしている。旅行者とすれ違う。
ありとあらゆるジャンルの人々が、街という装置を媒介として、同じ空気を共有体験をしていると考えると、コミュニケーションの未来に希望が見えてくるような気がする。
何だか、楽しい。
9月20日まで開催
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初めまして。私たち、スイスの牛です。
今年の夏のキャンペーン広告では、私たち、スケートボードで街を走りました。
ハードワークだったけど、うまく滑ることができたし、上がりもなかなか。
でもね。それって、去年、こんなふうに何ヵ月もヨガってみた成果かな、と思います。
草とお昼寝だけじゃダメ。おいしいミルクのためには、私たちもフィットネスが欠かせないの。
よろしければ、ご一緒に。
Photo: © SMP
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残念ながら、私個人が所有しているわけではなく。
チューリッヒ湖の沿岸には、そのエリアの住民のために開放される「プライベート・ビーチ」というものがある。門番を見たことはないが、パトロールは回って来るので、やはり、勝手に入ってはいけないらしい。
6月初旬、ビーチの鍵が開けられると、気温が高い日の午後ならば、だいたい何時に通っても、誰かが寝そべっている。
週末ともなれば、家族で日光浴。大人は本を読んだり、ぼ~っと湖を眺めていたり。ダイビング、ヨット、カヌー。
水鳥も、人間も、一緒に泳いでいる。
北ヨーロッパの夏は、美しく、短い。
夏を名残惜しむという余韻はなく、8月に入れば、やがて、すとんと秋になる。
そのせいか、太陽を思う存分浴びることのできるこの時期にはむしろスイスにいて、涼しくなってから、南欧や北アフリカ、トルコあたりで長い休暇を取る人も少なくない。
大人だけのカップルなら、ここでは、インディペンデントという形容で、そんな自由もきくようだ。
メールを出して、2週間オフィスを留守にしています、というオートリプライが返ってくると、あっ、またいない、今年何度目の休暇だろう、と、これも不思議に思うことのひとつ。
チューリッヒは、昨日からゾンマーフェーリエンSommerferien。8月半ばまで、学校は夏休みだ。
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Photo: Lionel Flusin – Montreux Jazz Festival Foundation
レマン湖畔の街で、1967年に始まったモントルー・ジャズ・フェスティバル。名前は今でもジャズ・フェスティバルだが、ロック、ソウル、ブルース、レゲエ、アフリカや南米のワールドミュージックまで。ジャズだけでなく、音楽界の大物が参加する、ノンジャンル、世界最大級のフェスティバルとして知られる。
毎年7月に開催され、今年は、7月3日から18日まで。
メイン会場は、Auditorium Stravinski、 Miles Davis Hallと2つある。
初日3日、キューバニスモ、オスカー・Dレオンなど、FIESTA LATINA!でスタートし、その後、ハービー・ハンコック、アリス・クーパー、バーバー・マール、B.B.キング、ジョージ・ベンソンなどが続く。
近藤等則が、12日、マイルス・デイヴィス・ホールに登場する。
なお、プリンスが、最終日18日の夜、2回公演することになった。ファーストステージは、19:00。セカンドステージは、00:00頃に予定されている。 www.prince.org
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スイス人の友人夫妻を夕食に招いたとき、こんなプレゼントをいただいた。
レシピ付きの、パンの粉。
抽象画のような線を描いているのは、ひまわり、クミン、かぼちゃ、けしの実など、10種類の種とスパイス。麦やアワも、入っている。
これを考えた人は、どんな風にデッサンしたのだろう。
できれば、コンピュータの画面ではなく、紙の上にパステルか水彩で描かれたものであってほしいと思うが、どうだろうか。
このベーキングミックスに必要なのは、水とわずかなミルクだけ。きれいなのでしばらく飾っておいたが、イースト菌は生きている。
そろそろ焼かなければ。