テッシーナ・ブラーテン

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自然がすぐそばにあるせいなのか、スイスで生活していると火を熾すことがわりと身近にあるように思う。ヴィクトリノックスのキャンペーンではナイフの使い方を小さい頃から教えていたが、ある年齢になると、森に入って枝を拾い集めて石を組んでソーセージを焼く、そんな学童のピクニックを良く見かける。

だから、バーベキューが好きなんだ、というのは直裁過ぎるが、冬のフォンデュに対抗する春夏の料理の代表格は、何と言ってもバーベキュー。サラダとお肉のメニューのバラエティーが豊かだ。

テッシーナ・ブラーテン。これは、イタリア語圏テッシンの郷土料理でレシピも家族の数ほどあるのだろうが、チューリッヒがドイツ語圏のためなのかどうか、私は家で作るというシーンにはお目にかかったことがない。

大きいお肉を焼きたいなら、人が集まるという数日前にお肉屋さんに頼んでおいてピックアップする。

モモでもロースでも好みでいいが、チューリッヒあたりでポピュラーなのは、豚肉をベーコンでぐるぐる巻きにしたもの。

味の変化をつけようと、この日は、全体に粒マスタードを塗ってこんがり焼いた。でも、これは小ぶりのお肉だったので、少し焼き過ぎてしまった。本当はもっとジューシーな感じに仕上げる。

日本だと炭になった部分は身体に悪いと言われそうだが、ソーセージもお肉も、バーベキューでは焦げるぐらいに表面を焼いてその香ばしさを楽しむ。

052付け合わせは、グリーンサラダと、ポテト。ポテトは、クミンを振ってラードでじっくり焼いたものだが、オーブンに入れてしまってもいい。

秋になって、もう外では食事をするのはちょっとね、というほど涼しくなるまで、ご近所の庭から、バルコニーから、バーベキューのいい匂いが漂ってくる。

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