日本の猛暑とは比べものにならないものの、異常に暑い夏だった。
7月から40度に届きそうな気温が続き、そのあとも35度ぐらいに達していた。夜になっても風がぴたっ、と止まったままで、まるで亜熱帯の国にいるような蒸し暑さ。寝るときは窓を開け放っていた。
スイスのほとんどの家庭には、クーラーは設置されていない。暖房はセントラルヒーティングなので、短い夏のために冷房を使うという発想がないのだが、今年は扇風機が売り切れになったそうだ。
ともあれ、こんなスイスの夏は経験したことがなかった。
湖の様子も何だか変だった。
いつもの年なら、鴨の家族や白鳥と一緒に泳いでいるのに、たまに、ぽつんと一羽の鴨を見かけるぐらい。カモメもあまりやってこない。
みんなどこか涼しいところに隠れていたのだろうか。
それでも、太陽を求め、本を持って湖に降りる。日がな一日、肌を焼いたり、泳いだり。水に浮かんで空を眺めていると、ツバメが飛行機雲と交差して行く。
ランチタイムは、サラダとビール。
ドイツのライゼンタールのピクニックバスケットは、こんな時活躍するのだが、ひっくり返すと、デッキチェアに高さがぴったりのサイドテーブルになり、うっかりビールをこぼさない、と気づいたのは今年の大発見だった。
我が家のグランマキッチンで登場したサマーサラダがいくつかあるが、ポテトとレッドビーンズの組み合わせは、湖畔でなかなかのヒットだった。
オニオンも、赤。テクスチャーの調和とパワフルな彩りが楽しい。
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風も、空も水も。晩夏の気配になってきた。束の間の秋から、急速に長い冬に走っていく。
ここに暮らす人々にとってはラッキーなことに、あと何日か、あの真夏の太陽が輝くらしい。
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イースター前のある日。親しい先輩たちとディナーをいただいた。
オペラ座からトラムに乗って、約束のレストランは2つ目の駅。オンタイムのつもりが数分遅れてしまったが、扉を開けると、二人の笑顔がすぐ見えた。
私の白いナプキンの前に、緑色のリボンをつけた金色のイースターバーニーが、ちょこんと座っている。向かい側の席にも、もう一羽。
春を知らせるイースターは、待ち遠しい。誰かと会うとき、訪ねるとき。喜びを分かち合うように、この時期、こんな風にチョコレートのうさぎを贈る素敵な習慣がある。
チョコレート屋さんのショーウィンドーには、籠を背負ったうさぎ、自転車に乗ったうさぎ、ピンクのドレスを着たうさぎ、などなど、お店ごとに違う顔をした毎年お馴染のチョコうさぎが、ずらずらっと並んでいて楽しい。
さて、私も友達にうさぎを買おうかと街を歩いていたら、最近日本にも進出しているレダラッハLÄDERACHで、こんな可愛いいラッピングを見つけた。
今年のイースターは、4月5日。
寒いけれど、春が来た。
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雪が降った日に作ったリースは、やはりスイスの森の色になった。
今年も、ちょっと早めに東京のクリスマス・ディナー。
このオフィスをデザインしてくださった建築家氏やご紹介くださったアーキテクトの方々をご招待。
空間は、四季をひと回りして使ってみなければわからない。いろいろ我儘を言ってお世話になった皆さまに、ここで寛いでいただきたいと思いながら、なかなかタイミングがつかめず約束を果たせていなかった。
スイスでは、クリスマスにフォンデュ・シノワーズというしゃぶしゃぶのような料理をいただくことが定番だが、最近は、オリジナルにヌーベル・スイス風のコースを組む方が流行っぽいかもしれない。
あれこれ迷ったが、どこかにチーズを、と。前菜とメインの間に小さなフォンデュを入れてみた。
モン・ドール、黄金の山。スイスのヴァシュラン モン・ドールの入荷まではもう少し待たなければいけなかったので、お店の方がフランスのモン・ドール アルノーを勧めてくださった。
ちょうどこの日にほどよく熟成していて、火を入れるのはもったいないのかもしれないが、ガーリックを差し込んでたっぷり目の白ワインを注ぎ、オーブンで焼く。
とろとろのチーズが、皮つきのじゃがいもやバゲットの、ぱりっとした感じと絡んで、とってもおいしい。
今年一番というほど、冷え込んだ夜。
ゆったりと、なごやかな時間が流れていった。
素敵なイヴを。
メリー・クリスマス。
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暖冬のチューリッヒに飛び、春というよりは初夏のような日々を過ごして戻ってきたら、すっかりイースターグッズを買い忘れていた。テーブル用にきれいな藁が欲しかったのだが、あまりにも慌てていて逃してしまった。
ところが、不思議と以心伝心。こんな色が欲しいとイメージしていたものが、何と親しい友人から届いたバースデープレゼントの箱に敷きこまれていたのには、びっくり。
チューリッヒも東京も、花があふれる美しい季節。
今年の復活祭は、4月20日。
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モミの木は、日本の森から。シナモン、胡桃、干し林檎は、スイスから。バンホフ・シュトラッセで以前から欲しいと思っていたきれいな手刺繍のテーブルクロスを見つけてうれしくて、そうだ、12月になったらに登場させようと、楽しみにしていた。
少し早めに開いた東京オフィスのクリスマス・ディナー。ジェネレーションも情報も知恵もシェークしようと、世代を超えて集った女性たちは、いずれもいい感じに肩の力が抜けている、お洒落でチャーミングなワーキングウーマンだ。
会議が長引いているらしく、前菜担当、赤ワイン担当からショートメールが届いた。
「それじゃあ、ゆっくり待ちましょうよ」と、アぺロのシャンパンを開けると、とたんにお喋りに弾みがついてゆくが、今日のメンバー全員が勢ぞろいして席に着いた瞬間、ふっ、と立ち昇った空気に、「すごいねっ」と顔を見合わせるほど、部屋がキラキラ華やかになった。
夜が深くなるにつれ、話は来年のこと、未来のこと、それから、一緒にできそうなことも思いついたりして。人生のかなりの時間を知っている友達も、もっとずっと若い友達も、グラスを重ね、みんな幸せそうに笑っている。
素敵なイヴを。
メリー・クリスマス。