あけましておめでとうございます。2014

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私たちスイスの牛は、
だいたい、アルプスの山々と湖の見える草地で昼間は過ごします。

冬の間は時々雪が降るので駄目ですが、
イースターが過ぎたあたりから、からだがムズムズ。
昨年からウォータースポーツに凝っています。

小さい子はまだ浮輪を使いますが、
私ぐらいになるとジャンプや水上スキーなども楽しみます。

これは、お気に入りのショット。
ポスターになりました。

平和な1年でありますように。
今年もよろしくお願いいたします。

© Swissmilk

https://www.swissmilk.ch/de/

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3Dアートで伝えるもの

3.11から1ヵ月半ほどしてこの広告を見た。その頃、ダライ・ラマは、アメリカ訪問の経由地として降り立つはずだった日本に予定より長く滞在し、東京護国寺で祈り、語っていたと大分経ってから知った。

いきなり目の前に現れた広告のダライ・ラマは、アメリカにいる。連邦議会の広間。

中国の人権問題と言えばまずこの政治家が筆頭に登場する。ナンシー・ペロシNancy Pelosは、かつてブッシュ政権下でアメリカ議会最高の褒章「下院金綬褒章Congressional Gold Medal」をダライ・ラマに贈った。これは、ダライラマが米国大統領と公の場で同席した初めてのケースであったが、その授与の場で、師は、ペロシの手を犬猿の仲であるブッシュの手に重ねた、という世界を沸かしたハプニング。瞬間、もうひとつの歴史をつくった。
07年のことだ。

“Great celebrities and current affairs. An experience page after page”

ページをめくるごとに、どれもこれもクオリティのトップを競い合えるほどの写真が連続し、キレるフレーズが目に飛び込んでくる。そこからアクシデンタルにも、読者は想像を超えた経験をしていく、ということか。
そう言い切るだけの洗練された雑誌であるし、手に取る自分が確かに賢そうに見えるかもしれない。

いかにもスイスドイツ語圏らしいタイポグラフィの美しさ、デザインのすきっとしたインテリジェンス。

彫刻家のデッサンをシリーズ化した昨年のEYE TRACKINGでは、素描から彫刻へ、平面でありながら3次元へと思考を導いたクイズのようなエスプリがあった。

Eye-cathcher からExperience へ進化し、3Dであることにコンセプトをからませる。昨年のシリーズに比べるとちょっと理屈が勝ち過ぎている気がしないでもないが、このヴィジュアルを現代アートだと思えば納得もできるし、チューリッヒならば、こういうお3方の蝋人形がどこかのギャラリーにありそうでもある。

アート&カルチャーマガジンDuならではのひねりの効いたコミュニケーション。

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Advertised brand: DU Magazine
Advert titles: Dalai Lama
Headline: Great celebrities and current affairs. An experience page after page.
Advertising Agency: Euro RSCG Zurich, Switzerland
Creative Director: Axel Eckstein, Frank Bodin
Art Director: Christina Wellnhofer
Copywriter: Ivan Madeo
Graphics: Dominique Magnusson
Photograper/3D-Artist: Markus Graf, Martina Broennimann

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http://www.du-magazin.com/

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ノバルティスの鼻のスプレー タコ篇

ある年の休暇に、スペインのグラン・カナリアという島へ行った。
首都ラパルマスから車で30分ほど。ビーチは、かつて砂漠だった一部が動き、強烈な陽射しの下で白い砂丘になり、ここから、アフリカの北が見える。

アジア人に出会った記憶がないが、日本の商社マンは住まわれているのだろうか。とにかくドイツからの長期休暇のゲストが多く、ホテルも、英語よりもドイツ語の方が通じやすかった。

街から離れ、ホテルのなかで全てが完結するリゾートは、だらだらできて気ままなものだが、普通だいたい2週間、長ければ1ヵ月ぐらいステイする人々の間には、小さな社会らしきものが顔を出し、いくつかのグループのなかで、つかず離れずの社交性が求められることになる。

アジアのビーチは、たとえ名立たるホテルであろうとも、あまり服装に気遣う必要がないのでイージーに過ごせる。
それと比較すると、シーズンのヨーロッパのホテルは大変だ。

毎日、同じ服を着るのはご法度。朝食、昼の庭、夕食と、微妙にルールが異なる。
プールサイドのマダム達は、大きなパールのピアスが定番らしい。明るいブロンドの髪をアップして、重さのあるゴールドのネックレスをつけている貫録マダムもいらっしゃる。水着に宝石・・・・

お化粧、しっかり。泳がない方たちは、顔を水につけたりしないので、これでいいのだろう。
足元は、ゴム草履ではなく、ピンヒール。
もちろん、毎日ビキニも変える。従って、ストールも、サンダルの色も変わる。

凄いエネルギーがいらないのだろうか。

さりげなく何かを誇示するその迫力たるや、ヨーロッパに移って最大のカルチャーショックのひとつだった。

何夜かディナーを庭のレストランでいただいたが、数日経つとやっぱり飽きるので、ときどき外へでる。

ある晩、私たちは、タクシーを頼んで、港の近くへ移動した。
ひっそりとした波止場の周辺に、何軒かシンプルなレストランが並んでいる。
こういうときの勘は、たとえはずれても、つべこべ文句は言わない。

ビキニのお姉さんの日に焼けた古いポスターの脇に、エビ、ロブスター、イカ、タコ、後は名前のわからない魚の写真がぺたぺた貼られ、メニューには料理の写真がついていた。

どれもいい。全部、食べてみたい。

タコかイカ。
夫は、軟体動物が大好きだ。どっちとも決め難いなら、両方頼めばいいのだけれど、軟体二皿は、私にはちょっと辛い。
迷った挙句、イカにした。

しばらくすると、隣りの席に家族と友人連れなのか、父親らしき男性を頭に、8人ほどのスペイン人が大きなテーブルを囲んだ。
彼らは、メニューをさっと広げてすぐに閉じた。それは、何となくの確認作業であって、そこに迷いは見られなかった。古今東西共通して、地元の人が食べているものこそ、最高においしいはずだ。

やがて運ばれてきたお皿の上には、30センチ以上は絶対ある、立派なタコの足がで~んと反り上がり、8人、めいめいの前にタコが並んだ。8本、つまり、巨大タコ1匹、全部の足。圧巻だ。

よそのテーブルをうかがうなんて、褒められたことではない。分かってはいるものの、視界に入っているので見えてしまう。

ナイフで容易に切れるようだ。そして、とにかく、あんなに大きいのに、やわらかくて、ジューシーであろう、その食感が伝わってくる。

私たちのイカが悪いわけではない。
北大西洋を遊泳し、今朝漁師さんの小舟から揚がったイカは、甘みがあって、もちろんおいしい。

しかし、明日の夜は、ここにはいないという日だったので、もう一度来て、「今日は、タコにします!」、ということができない。

以後、どこか島へ行くと、やはりタコかイカかで心は揺れるが、あのご家族のように、巨大でやわらかそうなタコの足を、堂々と目の前に置いて、心おきなく食べてみたいものだと今でも夢に見る。

毎回奇妙なビジュアルインパクトで目を引く、スイスの製薬会社ノバルティス。
これは、鼻づまりの薬のシリーズ広告「Let The Sea Help You Breathe」。
タコ、カニ、竜の落とし子と3点シリーズだが、何と言っても、タコは、役者だ。思い切りのいいコミュニケーションで成功している。

テルアビブとスイスのサーチ&サーチで制作され、スウェーデンで展開された。

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Client: Novartis

Brand: Otrivin

Media: Print

Title: Let The Sea Help You Breathe

Description: A print campaign for Otrivin nasal decongestant.

Advertising agencies: BBR Saatchi & Saatchi Tel Aviv and Saatchi & Saatchi Switzerland

Chief creative officers: John Pallant, Roger Kennedy, Derek Green

Executive Creative Director: Yoram Levi

Creative directors: Nadav Pressman, Ad Noy

Art directors: Yuval Zuckerman, Udi Ovadia, Fiona Parkin

Copywriters: Idan Regev, Eliad Friedman

VP Planning: David Kosmin

Senior Planner: Guy Gordon

Planner: Carolyn Dateo

Account supervisors: Stéphanie Rupp, Kirsten Kollerie

Advertiser’s Supervisor: Philippe Zell

Account Managers: Mélanie Foucher, Elena Ballestreros

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ノバルティスの喉薬 エスケープ・ザ・マウス・ホラーズ・キャンペーン

しばらく前のことだが、ある日、トラムを待っているとき、背中に奇妙な人影を感じた。
チューリッヒの街というのは、浮世離れしたモノや人に出会うことがしばしばあるので、まあ、その一種かと思い振り向かずにトラムに乗った。

帰り道。今度は、トラムの窓からその人々を見た。
喉が痛いらしい。

タミ―さんの喉は、蛇に閉めつけられて、声が出ない。彼女のお友達は、ガラガラのしわがれ声 Hoarse voice。喉の中で子馬が暴れているのが原因だ。もうひとりのお友達は、喉にカエルがいる Frog in his throat。やはり、辛い。

こんなとんでもない恐怖の苦痛をもたらす珍獣を退治するには、ただの喉飴ではダメ。
「メブカイン ソア スロート レムディ MEBUCAINE SORE THROAT REMEDY 」は、あなたの喉を平和にするために登場した。

よし。どんなにパワフルなドロップスであるか、効用効果の高さを強烈なビジュアルインパクトで訴求しよう。表現方法は、やっぱりシュールだ。
そう決定された方に、お会いしてみたい。

スイス、バーゼルにヘッド・クオーターを置く、国際企業、製薬・バイオテクノロジーの先端を走るノバルティス社のシリーズ広告。
キャンペーンタイトルは、エスケープ・ザ・マウス・ホラーズ Escape the Mouth Horror’s。

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Brand : MEBUCAINE SORE THROAT REMEDY
Advertising Agency: Saatchi & Saatchi, Cape Town / Geneva
Executive Creative Director: John Pallant
Creative Director: Anton Crone
Art Director: Larissa Elliott
Copywriter: Alice Gnodde
Illustrator: Am I Collective
Photographer: Jillian Lochner

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スイスインターナショナル LX Forty with マーク・フォスター

CMは http://vimeo.com/5065285

ふたつの選択。

私の顔。

あなたの顔。

真実の顔。

なぜ、旅を始めたのだろうと、その理由を思い出すとき、
私たちは、ようやく自分の真実の顔を知ることができます。
それは、時々、忘れていたりするもの。

映画が始まって、そういう人生もありうるかもしれないと考えてもみる。
しかし、ほとんどの場合、私が見たものはどうも好きになれない。
私は、ブランケットを被って、何日もベッドにもぐっている、
そんなこともある。

想像してみましょう。
世界は、その巨大な車輪を回転させているのだと。
同じパターンを異なる形で、何度も何度も繰り返し回っているのだと。

私たちの人生には、二つの嘘があります。
私たちが誰かに語るものと、私たち自身に打ち明けるもの。

愛。

それが、ただひとつの答え。
いったい何が真実なのか。
探し求めて辿りついたところに、私は、その答えを見つけました。
私は、いつもずっと前を見ていました。後ろではなく、前を。
それより他にいい方法なんて、ありはしません。

人生は瞬く間に変わります。
私たちよりもさらに速く。
大切なのは、今までよりも、もっと豊かなコミュニケーション。
言葉の多さではなく、言葉を超えて。

時代は、ますます加速しています。

だから、私は壁にぶちあたるまで、
自分がいったい何者であるのか、はっきりと見ることができないのです。

私たちは、希望を実現していきます。
旧いシステムは、脱ぎ捨てられます。
時代はスローダウンし、本来の基本へと立ちかえるでしょう。

私たちは、新しい道を発見することができます。
永遠に変わることのない道です。
なすべきことを見つけるだけではなく、それよりもさらに、
日々の仕事のひとつひとつのことから、よりよくできることを導き出す。
そのような責任を果たしていきたいと思います。

なぜ、この旅を始めたのだろうと、思い返すのは、描いてきた軌道。
それは、さなぎから蝶が生まれ、ひらひらと宙を舞うことに似ています。

空を飛べたらいい、そう思いませんか。
私は、今でも思っています。

YOUR FLIGHT, SWISS MADE

 

(独語・英語より 訳:八木美恵子)

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光や生命を感じるCMなので、こういう季節に見直してみるのもいいかもしれない。

スイスインターナショナルは、現在ルフトハンザの傘下にあるが、やはり、スイスの顔である。

モットーは、「個人的な配慮」「スイス・ホスピタリティ」「細部への高品質」。

このショートフィルムは、スイスの映画監督マーク・フォスター Marc Forster とコラボした作品。制作は昨年だが、ロングランで今でも流れている。

2分27秒。

Brand: Swiss Air

Advertising Agency: Publicis Zurich

Creative: Martin Deneke

Director: Marc Forster

Producer: Peter Lehner

Director of Photography: Roberto Schaefer

Editor: Jay Nelson

Production: Ping Pong Animation: MK12

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