スイスワイン・スパゲッティ

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「ハイダだからね。ハイダ!!」

グランマキッチンは、唐突にモダンへ飛んだ。

ハイダHeida というのは、スイスワイン。寒冷地に強いスイスの種で、信じがたいような高地の畑、ヨーロッパ最高峰1,150メートルに広がるアルプスの段々畑で摘まれる。

スイスワインは、今日本で人気が出つつある。有名なワイナリーがたくさんあるレマン湖畔のワイン、ヴォー州のシャスラ種が、9月に帝国ホテル、パレスホテル、スイス大使館と続いて東京でお披露目されたが、「アルペンワインの真珠」と讃えられるヴァリスのハイダもまた、スイスを代表するワインのひとつだ。

このハイダをかなりたっぷりお料理に使う。しかも、パスタに。

お塩を入れないお湯でスパゲッティを3分ほど茹で、それをボイルしているハイダ+水+塩へ移してアルデンテに茹であげる。

ガーリックとキノコをバターで炒めワインを加えてチーズを溶かし、スパゲッティを和える。

アクセントは、塩、ブラックペッパー、ナツメッグ。トッピングは、溶かしたチーズ。

森から届いたたくさんのキノコが出回っているが、ここで使っているのは、一番早く市場に顔を出すシャンテレール。日本語でアンズ茸。

葡萄と洋梨はデコレーションというよりも、チーズの絡んだスパゲッティと一緒にいただくための甘み。皮ごと食べます。

まずは、白のテーブルワインあたりでお試しください。

過去の記事「ワイン評論家という仕事 チャンドラ・クルト」もご覧ください。

 

 

 

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サンセット・サラダ

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寒い季節が長いので、夏のあいだは庭やバルコニーで食事をすることが何よりの楽しみになる。

冬のフォンデュに代わる定番料理といえば、スイスでは、何と言ってもバーベキュー。
メニューをあれこれ変えて、今日も明日もバーベキューということも珍しくない。週末には大概ご近所からお肉やソーセージを焼くいい匂いが流れてくる。

バーベキューグリルは、ご招待でもホストの男性が番をするから、材料を揃えておいて、あとはおいしいサラダとデザートがあればいい。

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夏のサラダに、ちょっとリッチなドレッシングを使った。
ブルーチーズ、クリームチーズをベースに、すりおろしたガーリックがアクセントになっている。オリーブオイルは普通だけど、ハーブのヴィネガーを合わせることでチーズとのバランスがうまく取れて爽やかになる。

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ティチーノ・マッシュルーム・リゾット Mushroom risotto alla Ticinese

コックさんは、世界中どこの国でも働くことができて、うらやましい職業のひとつだ。

チューリッヒには、イタリアンレストランがたくさんある。
1950年代、60年代に、とりわけ多くの人々が、ナポリ、シシリー、パレルモなどイタリア南部からチューリッヒに移ってきた。彼らやその2世がレストランを成功させていたり、レストラングループを運営していたりと、イタリアものの層が厚い。

そいうお店でいただくのと、これはちょっと違う。
グランマキッチンからもう1品、スイスイタリア語圏、ティチーノ州Ticinoのリゾット。

ティチーノは、チューリッヒあたりでは、「テッシンTessin」とドイツ語で呼ぶ。「今年は海外に出ないで、テッシンにしたの」と聞くと、湖の畔にゆったりと広がる大きな家を思い浮かべる。地中海のタッチのある、身近な夏のリゾートだ。
気候が温暖で食べ物がおいしい。南へ向かうので、車に乗っていてもだんだん気分が明るくなってくる。

リゾットのルーツとして一般的に知られているのは、ミラノ。ティチーノは、16世紀までミラノに属していたため、ティチーノ・リゾットは、より地方色のある料理といえるだろう。

ミラノのリゾットとの大きな違いは、サフランを使わず、ローズマリー、タイム、バジル、オレガノといったイタリアンハーブを使うこと。調理用の白ワインは、本来は、メルロMerlo del Ticino あたりか。

「リゾットは、お鍋のそばにずっとついていなければならない。日本の炊飯器は、すぐれものだ。ほら、君はピラフを作っていたでしょ。だから、できないはずはないと思ったんだ!!」

イタリアンのシェフが聞いたらケラケラ笑いだしそうだけど、彼のアイデアは、間違ってはいなかった。

リゾットライスを使った方がいいが、この日うちになかったので日本のお米で作った。
お米とやや少なめのブイヨン、パセリの茎とフレッシュ・ハーブを入れてスイッチオン。ブイヨンの量は、後で白ワインを加えるためここで調整する。

半分ぐらい焚けたところで炊飯器の蓋を開け、オリーブオイルで炒めておいた、玉ねぎ、にんにく、キノコ、それと白ワインを加えて混ぜる。
焚き上がったら、牛乳もしくは生クリーム、おろしたチーズを加えて混ぜ、塩、コショウで味を調える。それだけだ。

ここではお米を炒めていないが、「日本の炊飯器」のテクが最終的に辻褄を合わせているのだと思う。

ティチーノのグランマもびっくり、かもしれないが、かなりおいしかった。作り過ぎてしまったら、冷凍してもいい。

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スイス・アルペンチーズ・マカローニ Älplermagronen

ここのところ、にわかに我が家で流行っているものがある。マイ・ブームというよりヒズ・ブーム。

世界の大陸を渡り、およそあらゆる国で食事をしてきた人が結局行き着いたのは、スロー・フードだと言う。それも、今時のスマートでスタイリッシュなものでなく、素朴なグランド・マザーの料理。

いかにもドイツ語圏スイスらしいのは、ドイツ的であったり、イタリアぽかったり、それらを混ぜてスイスらしかったりと、あまり脈絡がない。

スイス・アルペンチーズ・マカローニは、マカロニをチーズで和えた簡単なひと皿。スイスドイツ語で、アルプラーマグロネンÄlplermagronenという、ディープ・スイスだなあ、と感じる名前がある。

フォンデュの由来もそうだが、昔は牧夫がちょこちょこっと作った料理。オリジンは、スイス中央部のウーリUri州とお隣のオプヴァルデンObwalden州。

ちなみに、このウーリとシュビーツ、ウンターヴァルデンの3州は、13世紀にハプスブルク家と封建諸侯の支配に対抗して自由と自治を守る永久同盟を結び、スイス盟約者団を結成。これが、スイス連邦の原型となった。

さて、マカロニ。作り方は、いたってシンプル。まずサイコロ状に切ったじゃがいもを、マカロニと一緒に茹でてしまう。その間に、牛乳を温め、すりおろしたチーズを混ぜ、ハムを加える。マカロニとじゃがいもを入れて塩、コショウ。さらにチーズを加えて混ぜてできあがり。

ひと手間かけるなら、オーブンで少し焼いて焦げ目をつける。トッピングは、玉ねぎをバターでカリッとソテーしたものが良く合う。

ワインは、チューリッヒ湖畔のご近所ワイナリーから、辛口の白。リースリング・シルヴェナーRIESLING-SYLVANERを選んだ。

冷蔵庫に粉のパルメザンなどがあれば、それで作っても大体こんな風になる。
お試しください。

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Flying egg

40年振りと言われる、長く厳しい冬が終わらないかのように。今年のイースターは、雨や雪が続いていて、毎日ほんとうに寒かった。

いつもならデコレーションを作るものの、どうもそういう気も起きず。
それでも、やっぱり何か飾ろうかと、直前になって、家の近所のチョコレート屋さんで買ってきたのが、こんなチョコ。

ヒヨコの頭の毛が揃っていないのは、殻から出たきたばかりだから、と思うことにした。

そのままくるんで、東京のオフィスに持って来た。これまた運んできたスペインのホワイトアスパラガスがあったので、「打ち合わせは、ランチミーティングにしませんか?」と提案したら、即答、快諾していただけた。時差ボケのまま簡単準備。

チョコレートをお皿に移し替えてデスクに乗せたら、何故かスイスで見るよりかわいらしい。

しかし、このまま置いておくと、目の前を通るたびに1個ずつ食べてしまい、それはすごいカロリーになる。

迷った挙句、「どうぞ、どうぞ、スタッフのみなさんで召し上がってください」とディレクター氏にお土産に押し付けてしまった。

ヨーロッパの、春のお祝いのおすそ分け。

 

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