2カ月ほど前に、チューリッヒでは、ゲイパレードが開催された。各地でお祭りの多い、夏。もうひとつ、ユニークで大規模なフェスがある。
毎年、8月の第2土曜日に開かれる、ストリートパレード Street Parade。
ご本家はベルリンのラブパレードだったが、92年にチューリッヒで始まって以来、年々拡大し、今や、ヨーロッパ最大のテクノ&ダンスのパレードとして知られるようになった。
2004年には、なんと、100万人の来場者を記録。今年は、朝からの大雨が終日続き、寒さにたたられ、引き返した人や家から出ない人などもかなりいたようだ。それでも、この日のために、世界中から60万人が集まった。
ちなみに、チューリッヒの人口は、36万人。
今年のキャッチフレーズは、STILL HAVE A DREAM !
コミュニケーション統括のステファン エプリStefan Epliは、そのステートメントのなかで、マーティン ルサー キング Martin Luther Kingの「I have a dream」を引き、「これは、ストリートパレードが生まれるずっと以前の演説でしたが、18年たっても私たちはまだ同じゴールへと戦い続けています。(中略)ストリートパレードは、愛、平和、自由、そして寛容のためのデモンストレーションなのです」とアピール。時流を反映して、というところだろうか。
オペラ座近くから始まり、ここからチューリッヒ湖に沿って、27台のラブモビール Love Mobieles と呼ばれる度派手なトラックが動いて行く。これが、ストリートパレード名物、移動するステージだ。
スイス、日本、アメリカ、そして、ヨーロッパ各国から集合したカリスマDJが各モビールに乗り込み、アーティストやダンサーが叫んで、踊って、熱いライブを繰り広げる。
レイバー Raversと呼ばれる観客たちも、渾然一体となってモビールとモビールの間をつなぎ、同じく、叫びながら、踊りながら、大音響のなかを進んでいく。
湖対岸へ向かう手前、ハイライトのセンターステージがあるビュルクリ・プラッツ Bürkliplatzに近づくにつれて、クレイジーな興奮が大きく渦巻き、テンションがぐんぐん上がっていった。
普段、チューリッヒの若者を見ていると、礼儀正しく秩序だっているように思うのだが、とにかくこの日は海外勢と一緒になって、ハメを外す。街中いたるところで、朝までパーティが続いた。
ところで、ストリートパレードの見ものは、奇抜なファッション。いや、仮装、と言った方が正しいのだろう。
もっとも、日本のガールズファッションが、パリやミラノに続々と輸出されている昨今。ちょっとやそっとのことでは、日本人は驚かないだろうが、しかし、街中にこういう人々があふれている状態は、かなりヘンではないだろうか。
性別、年齢、職業など、あらゆるボーダーを超越している。老いも若きも、中年も。メタボかどうかなんて気にしない、というストレートなおおらかさには、思わず笑顔で応えてしまう。
カメラを向けると、ほとんど瞬時にポーズを取ってくれる。どこで練習しているのだろう。
一緒に写真を撮ったりして面白かったが、ハマると、クセになりそうだ。
もしかしたら、来年、このなかにいたりして。
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