「アニマリス・ユメルス」上陸。テオ・ヤンセン展

Photo: Animaris Percipiere Thumb Theo Jansen / degital brainstorming

ユニークな現代アートを仕掛ける、デジタル・ブレーンストーミングという頭脳集団がいる。バックについて語ると、話がとっても長くなってしまうのだが、ともあれ、先日、ここから、オランダの動力彫刻家kinetic sculptureテオ・ヤンセンTheo Jansenが招待されていた。

東京日比谷で、今年の1月から4月まで、アジア初の大規模な展覧会が開催されていたので、すでに作品をご覧になった方も多いことだろう。

2006年に、南アフリカでオンエアされたBMWのCM「Defining innovation」は、世界中で大きな話題になった。
今まで見たことも聞いたこともない奇妙な「生物」が、ヤンセンと一緒に暴風雨にびゅんびゅんなぶられながら、波の高い暗い海岸を歩く。この不思議な映像と彼のフレーズの無駄のなさがクールで、実にセンスの良いクリエイティブだ。

今回、ヤンセンは、「アニマリス・ユメルスAnimaris Umerus」とその仲間である小さい「生物」を何匹か、チューリッヒに連れて来た。

普通の家庭で使われている、電気を誘導するプラスチックのパイプ。これを、ナイロンの糸で固定して、骨格を作る。エレクトリック・ケーブルやビニールを巻きつけられるものもいる。有機的な素材はいっさい使わないのかと思っていたのだが、何故か、卵白を眼や皮膚に使っている、とインタビューで語っている。

砂浜生物、あるいは、ビーチ・アニマル。そういう呼称が、すでに日本に定着しているが、ドイツ語のシュトラントビースター Strandbiesterだと、海から上陸した動物のイメージが強調されて、総称自体にミステリアスな響きがある。危ないけどかわいい、のようなユーモラスなニュアンスも感じさせる。

まるで、古生代の生物が、ムカデのお化けのようにたくさんの足を持ち、風力で動く。走る。彼が生み出したひとつひとつの「生物」の大きさとラテン語の音の面白さのためもあってか、恐竜を連想してしまう。

ヤンセンは、デルフト大学で物理学を専攻したが、後に画家になる。
その前のことだろう。彼は、新聞のコラムの原稿をまとめるために、よく海岸を散歩していたそうだ。何についての原稿だったのかは定かでないが、ある日、砂浜を歩く巨大な「生物」のイメージが、インスパイアされた。

そこから、年月はかなり経つ。

19年前の9月。彼は、プラスチックのパイプを買いに行った。
「その日の午後、ずっとパイプをいじっていました。夕方近くでした。私は、これからの人生をこのプラスチックのパイプとともに生きていくことになるだろう、と確信したのです」。
テクニカルなアイデアと芸術が結合し、まったく新しい「生物」の卵がこの日に誕生した。

「彼らに、食べ物はいりません。生きるために必要なのは、風、だけです。他の動物たちのように、食べ物を探すために動きまわる時間を使わなくていいのです」。

ヤンセンの「生物」たちは、風を食べて、砂浜で生きている。

「海辺では、子どもたちと遊んだり、他の動物と一緒に暮らすこともできます。でも、私が創造する生物たちは、常に進化し続けていますから、いずれ自然よりも賢くなるかもしれません。新しい生命の形です」。

「なぜ、あなたは、砂浜で生きる生物を創り続けるのですか」。

「なぜ? わかりません。では、お聞きしましょう。なぜ、我々人類は、この地上にいるのでしょうか」。

インタビュー:デジタル・ブレーンストーミング

https://digitalbrainstorming.ch/

BMW 「Defining innovation」

https://www.youtube.com/watch?v=BZnOm00Eb10

https://www.youtube.com/watch?v=qmHd-0WyqOU

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