シナモン、ジンジャー、アニス、クローブ・・・
どれも、クリスマスのケーキやクッキーに使うスパイス。中央駅の構内や街に立ち並ぶクリスマス・マーケットから、ホットワインの屋台から。こんな香りが漂っている。
25日から逆算して、4つ前の日曜日からイヴまでの期間を、スイスドイツ語圏ではアドベントと呼び、クリスマスの準備をして行く。みんなそわそわして、どことなく嬉しそうで、日本のお正月の前のような慌ただしさだ。
家族や親戚一人一人にプレゼントを探し歩き、それぞれ違うラッピングをするには、それなりの日にちがかかる。
イルミネーションを灯し、子どものいる家では、大きなサンタを壁に這わせたり。玄関のリース。ポプリもクリスマス・フレーバーのものに変えたが、切り落としたばかりのもみの木の枝に顔を近づけると、ひんやり静かな森が匂う。これも、その辺りに飾るもの。
アドベントのキャンドルは、4本。今年は、11月の最後の日曜日に1本目を灯し、そこから日曜ごとに2本、3本と火が加わり、今日が4本目。
クラシックなものは、常緑樹のリースの上にリボンやデコレーションをつけてキャンドルを立てるが、もう家ごとに違う。好きな色、好きなデザイン。最初に点けるキャンドルが一番短くなってしまうので、高さの違うものでデザインしたりする人もいる。
去年は、一面に木々を敷きつめて大きな青いキャンドルを立てたのだが、今年の気分はかなり違った。
サラバンドがいいかも知れない、と、2長調を選んでみた。チェロのゆったりとした旋律に揺れながら、キャンドルの影をぼんやり眺める。
外は、零下10度。昨夜降った雪の上に、霧の花、フロスト・フラワーがキラキラと輝いている。
もうすぐ、クリスマス。
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