山に囲まれた国のこと。かつては、海の魚を食したことがないというご年配の方が結構いらした。海のある国に旅行する機会などあまりなかった世代にとっては、そういうものだろう。
スイスに海はないけれど、水は豊かだ。種類は多くないものの、地元の魚料理もある。
例えば、ライン川の畔では、大きな脂ののった鱒の料理が知られる。湖からは淡水の魚が獲れ、うちの近くにはそれを扱う専門の小さな魚屋さんがある。ご主人は、夕方になると手漕ぎの船を出して漁をする。
エグリフィレEglifilet と呼ばれる湖の魚は、フリッターやムニエルにするととてもおいしい。
ここ5年ほどの間に魚の流通がかなり進化し、デパ地下の魚介の鮮度が上がってきたし、ワンランクアップのスーパーならばいい魚が手に入るようになってきた。
いつ行っても面白いのは、郊外に出店しているポルトガル系の魚屋さん。南欧の魚がずらっと揃い、今の時期ならまだフランスから運ばれた殻つきのオイスターが何種類も並んでいる。アジだのサバだのは開いてもらい、軽く塩をしてバルコニーに置いておけば、ここでは手に入らない干物を簡単に作ることができる。
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1月中旬にリリースして間もなく、ヨーロッパのクリエイターの間でセンセーションを呼んでいるワインの広告。
熱帯のジャングルには、鳥の化身かと見紛う花が咲いている。空を飛ぶ魚も確かに存在する。魚と鳥が交配したら、こういうことになるのだろうか。
肉料理にも、魚料理にも。Meat or Fish という名前のワイン。
いさぎよいコミュニケーションが成功している。
食の冒険の最先端、スペイン、バルセロナから。
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Client: Meat or Fish
Advertising Agency: Grey, Barcelona, Spain
Creative Directors: Angel Trallero, José Miguel Tortajada, Joan Mas
Art Director: Dani Páez
Illustrator: Lucas Pigliacampo
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