アルプスの山々は銀色に眠る。
元旦の深夜に雪が降ったが翌日には溶け、すっきりとした青空がつづいた三が日。
大晦日。このあたり一帯の教会の鐘がいっせいに鳴り渡り、湖対岸につぎつぎと花火が上がった。
遠くから、歓声が聞こえてくる。
カウントダウンにあわせて開くはずのシャンパンの栓が頑固で、ナッツクラッカーを使ってようやく動かし、午前零時に滑り込む。
テレビでは、チューリッヒの街の様子を中継している。地元スイスの若者たち、アフリカ、東欧、南米などからやって来た多彩な顔が、画面に向かって笑いかける。
地上300メートルあたりで全開する、という仕掛け花火は、今年はなかなかアーティスティックで、面白い演出だった。
湖から噴き上がり、そのまま走り、宙を舞う。オーロラのような幻想的な輝きが闇に現れ、水面を覆う。
光のなかで、恋人たちは抱き合い、ときどきキスをして、また夜空を見上げる。
新しい年。
平和な一年でありますように。
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